鍼灸について

三千年に及ぶ鍼灸の原典を今様に解説し、脈診によって体質別、個人別にしかるべきツボをとらえてそこに鍼灸を施しますので、ほとんど痛くも熱くもありません。
そのためには鋭く鍛えられた指先感覚が必要でありますが、私達はそのために日夜研鑽努力を積み重ねております。
従って、刺激理念による中国バリや電気鍼とはまったく受療感覚が違います。
かくして、その施術が正しいツボに的中すると、心地よさにほとんどの方がウトウトされますし、中には眠られる方もおられます。
「百聞は一見に如かず」でありますから、どうぞ怖がらず安心してご来院ください。
なお、当院では使い捨ての鍼(エチレンオキサイドガス滅菌されたもの)を使用しておりますのでご安心ください。


鍼灸はどんな病気に効果が期待できるでしょうか


「先生、糖尿病は治るでしょうか?」「高血圧はどうでしょう?」「熱のある時に鍼をしても良いでしょうか?」などと尋ねられますが、それだけではすべて「いいですよ。」とお答えするより他はありません。

また「私の身体には鍼は合うでしょうか?」などと聞かれますが、当院の施術は生命力、生き抜く力の強化でありますから、生まれつき鍼が合うとか合わないとかはないわけで、施術家がその人の体質に合わせるものになります。

従って、あきらめに「ちょっと鍼でもしてみようか。」などと、しぶしぶ来院された方が、わずか数回の施術で長年の病苦から解放され「こんなことなら、あんなに怖がらずにもっと早く来れば良かった…」などと喜びの声を聞くことがしば しばあります。


鍼灸はどんな病気に効果が期待できるでしょうか


現在は医療が進歩し、昔のような伝染病や細菌性の病は少なくなりました。しかし、その代り癌腫・心疾患・脳血管疾患・自己免疫疾患・精神疾患などの難病や、病院で検査しても異常が見られない不定主訴を抱えた方々が多くみられます。当院に来院される患者様の中には、一人で様々な症状を訴えられる方もおられます。

例えば30歳主婦の例ですが「眼精疲労・頚肩のこり・慢性胃炎・坐骨神経痛・足が冷える・かなり神経質で寝つきが悪いため睡眠導入剤を服用しないと眠れないなどの症状を訴えてきました。もし、この方が完全な治療を受けようとすれば、眼科・内科・整形外・心療内科などを回らなければなりませんし、検査の結果「どこも問題ないです。」なと診断されることがよくあります。中には、あれもこれもと悪いところだらけで、何科を選ぶかさえわからない人もいます。

つまり、この施術法には外科も内科も眼科もなく全科であり、病気を診るのではなく病人を診るという人間まるごとの施術になります。すなわち「生命力や自然治癒力の強化」なのであります。これを具体的に説明しますと、眼の悪い方には肝を中心としてホルモンや物質代謝調整をおこない、膝に水がたまると言われる方には脾腎を中心とする水分代謝調整をおこないますが、 これによってその人の生き抜く力が強化され、体質が改善されると諸症状は軽快していきます。

このように鍼灸では、すべてを統一的に扱い体質改善を図ることがその主眼でありますから、生命力強化により症状が改善されていきます。そして経絡施術では、その患者様の脈を診て、望聞問切という独自の診断法によってすべての症状を統一診断し「証」という施術方針を立てて総合施術を行います。


新しい施術と健康法


今まではできるだけ我慢をし、耐え切れなくなってから病院に駆け込むのが最も我慢強く経済的と考えられていました。しかし、昔はそれでも間に合っていたかも知れませんが、自然環境の変化や人間関係の希薄化、巷にあふれた情報の複雑化など私達の生活環境はかつて想像することもできなかった状態にあります。従って、私達の健康はこれらの条件によって様々な影響を受けています。

その結果、今までは知られなかった難病が増え、ウイルス感染症やアレルギー症などにかかりやすく、流感・風疹・喘息などが、いつどこでも見られるようになりました。しかし、こうした不良環境の中にあっても、体質的に強い人はそれに負けることなく常に健康な生活を送っています。

つまり、私達が不用意に我慢をしすぎると、知らない間に病邪が体内深く入り込んで体質悪化を来してしまいます。現在は超高齢化社会になり、ますますそれが著しくなりました。
そこで、常に経絡による生命統制の仕組みを鍼灸で整えていると、様々な病邪に打ち勝ち健康を維持できます。また、何らかの病に冒された場合には、自己を過信したりせずに、鍼灸によって全身状態を総合的に施術し、人間まるごと施術として健康回復を図るのが、現在のような環境の不良化時代に適する合理的かつ賢明な施術法であり健康法と考えます。


鍼灸の歴史とその将来


「今おこなわれている医学は、約二世紀前にウイルヒョーという学者が顕微鏡によって細胞を観察し、有名な細胞病理学説を発表し、一時はそれがすべてであるかのごとく支配的でありました。

従って、今までの医学ではその病原を追求し、冒された細胞を神経刺激や血液循環によって回復せしめ、あるいはその病巣を切り取ったり取り替えるという、いわゆる時計修繕医学ができあがっていました。

しかし、現在は環境の不良化によって体内的な多臓器間の機能的アンバランスにより発生する病気が多いので、病原を攻撃したり切り取るという医学だけでは対応しきれないようです。

しかし、東洋医学は五千年前の夏・殷・周時代に始まり、口から口へ手から手へと伝えられ、今から二千年前に素門・霊枢・難経などの古典に書き残され、仁術として東洋民族とともに発展してきました。我が国には紀元六百年頃の飛鳥・奈良時代に仏教とともに伝わり、平安、鎌倉、江戸時代を経て優れた学者を生みつつ今日に伝えれられています。

その治療法は時計修繕学とは根本的に異なり、経絡という生命統制のメカニズムを整えるポイント「ツボ」に鍼灸を施して、生体の生き抜く力、病を治す力、すなわち生命力を強化するという理念に立つ治療法であります。

最後に、近年は過剰な情報ストレス社会で様々な慢性疾患を抱えた方が増加しており、西洋医学的な治療だけではその根本的な治癒も困難なようです。生活習慣などを是正し、自己治癒 力を高めるために、心と身を一体としてとらえ身体全体のバランスとリズムを取り戻すことで病を癒すという「心身一如」の思想に基づいた東洋医学の考え方も必要になります。
日々の健康のために、西洋医学と東洋医学の良いところを選択され、上手に当院を利用していただければ幸いです。